LMC 代々木 199th 準決勝: 本波友之 vs 萩原紀幸
「あれ? 一没(※1)しなかったの?」
筆者を含めたギャラリーが、準決勝の席に着いた萩原紀幸(千葉)に一斉に問いかける。準々決勝で彌永純也(東京)を迎えた萩原にとって、絶対に乗り越えたい壁だったのだ。それもそのはず、萩原といえば LMC においてスイスラウンドでは安定した強さを見せ付けるものの、決勝ラウンドに入るとそれまでの勢いはどこへやら、あっさり敗退してしまうケースが多かった。
今年の萩原は一味違うということだろうか。
萩原 「準々決勝で勝つということが、準々決勝で勝つことなんですよ!」
……よほど興奮しているのか、日本語がたいへん不自由な感じになっている萩原。彼が一没していないことは良く理解できたので、現実におとずれている準決勝に目を向けてみよう。
本波友之(東京)は、エルフとドランの融合デッキである“エルドラン”。萩原が純正の“黒緑エルフ”である。
- (※1)一没:
シングルエリミネーションの 1 回戦、PTQ や GPT などの準々決勝などで初戦敗退することの意。余談だが、筆者は PTQ の一没歴が 20 を超えている。もちろん、予選通過を果たしたことは無い。無念。
Game 1
萩原の《思考囲い》が明らかにしたのは、本波のハンドには《カメレオンの巨像》と《潮の虚ろの漕ぎ手》しかいないこと。そして、ターンエンドの宣言により、萩原に土地が 1 枚しかないことが明らかになった。
それでも、萩原の展開は止まらない。2 枚の《ラノワールのエルフ》にバックアップされ、《レンの地の克服者》《台所の嫌がらせ屋》と連打し、本波が《潮の虚ろの漕ぎ手》で《不敬の命令》をかすめ取るも、萩原は《護民官の道探し》を引き当て、黄金にも等しい《沼》を手に入れる。
これで 2 枚目の《不敬の命令》を《潮の虚ろの漕ぎ手》へと打ち込み、《不敬の命令》を取り返したうえで、ふたたびビートダウン開始。《野生語りのガラク》を展開し、《眼腐りの終焉》など除去もハンドに隠し持つ萩原は、依然として土地は 2 枚ながら本波を追い込む体勢は整ったかに見えた。
しかし、“ビートダウンの貴公子(※2)”こと本波が、この程度で歩みを止めるわけがなかった。すぐに 2 枚の《萎れ葉のしもべ》を引き当てて萩原の動きを止めると、抑止力に萩原が用意した《レンの地の克服者》にトップデッキした《叫び大口》!
さらに 2 枚目の《潮の虚ろの漕ぎ手》が《不敬の命令》をふたたび奪い去り、これが決定打に。《しもべ》にバックアップされた本波の陣営が叩き出す大ダメージが、あっという間の逆転劇を決めた。
- (※2)ビートダウンの貴公子:
本波の二つ名。かつて《ヤヴィマヤの火》をキーカードにした“ファイヤーズ”というビートダウンが流行した際、このカードが 1 枚引ければ充分なカードであることから、「じゃあデッキに 1 枚入れればいいですね」と発言したうえで、コンスタントに引き当て続けた逸話が一部のファンの間で有名。
本波 1-0 萩原
Game 2
1 ターン目《極楽鳥》→ 2 ターン目《包囲の搭、ドラン》→ 3 ターン目《萎れ葉のしもべ》→ 4 ターン目《不敬の命令》(X=3)で本体ダメージと畏怖。
かんたん 20 ポインツ☆
“ビートダウンの貴公子”の異名は、伊達ではなかった。
本波 2-0 萩原
本波友之が、決勝に進出!
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